院長ブログ「やまだより」

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2016年5月○日  群発頭痛の在宅酸素療法

群発頭痛は、通常、1ないし数年ごとに、1ないし数ヶ月ほぼ連日続く、 目の奥がつかまれたり、刺されたりするような、非常に辛い頭痛です。 最近はイミグランの自己注射や点鼻薬で対処できる方も増えていますが、特に夜間に多く、 最近はトリプタン製剤の保険上の制約があって、このようなトリプタン製剤をたくさん出せないことがあります。 そこで保険はきかないのですが、最近、自宅に酸素を置き、頭痛発作時に、酸素を吸ってもらうようにしたところ、 大変によろこばれた患者さんが複数おられますので、報告します。

群発頭痛に対して酸素療法が非常に有効な患者さんがいる一方で、酸素療法が有効でない人もいます。 ですので、この在宅酸素療法は、群発頭痛発作時に酸素が有効であることを確かめられた方に限ります。 頭痛発作時に外来に来られ方に、外来で酸素を吸っていただき、頭痛が良くなられた方に対して、在宅酸素療法を提案します。

通常、在宅酸素療法は、肺気腫など、肺疾患の方には保険が適用されるわけですが、 群発頭痛に対しては保険の適用はありませんので、少し高価になります。 在宅酸素の器械を自宅においておき、発作時や発作がきそうなときに、酸素を自由に吸っていただくわけです。 肺疾患と違って、群発頭痛の場合は高濃度の酸素が必要で、 最近は1分間に7リットルの酸素が提供できる器械ができて、治療には十分になっています。

通常、頭痛発作の続く1ないし2ヶ月の間、酸素の器械を会社から借り、自宅に設置します。 あとは必要に応じて、酸素を自由に吸えばいいわけです。 お値段は、1ヶ月の月単位で発生します。 保険がきかないので、当クリニックと契約している、酸素の器械を提供してくれる会社では、 酸素を吸った量が多くても少なくても変わりなく、1ヶ月3万数千円かかります。 しかし患者さんの感想は、いつまでも頭痛が続くわけではないので、 少々高いが、自宅に酸素があって本当に助かった、という感想を述べられています。 また1ないし数年後に群発頭痛の発作がきたときは、ぜひお願いします、と言われています。 群発頭痛は強烈な頭痛であるからこそ、の感想だと思います。 お困りの方はご相談ください。